損をする人

IMG_1091.JPG近頃、また本を読んでいるのですが

いま読んでいる本の、レビューを見て

驚きました。

「この本は、とても良い本だが、読んだだけではどうしたらいいかわからない」

こういう人は、結局、どんな本を読んでも、同じ感想を持つのではないかと。

手取り足取り、最後までケアしてくれるようなことを期待する心持ちというのは

自分の足で歩き

ときに

自分の手を使って地を這う

つまり

「自分で生きる」

ということを、放棄している

のではないかと。

どうしても身につけたいことがあれば、本から抜き取った、

「たった、一行」
「たった、ひとこと」

をたよりにして、自分の体を使って、試してみる。

そこでの試行錯誤が

あなたの体の中に

「知恵」

を生むわけで。

「知識」

を、いくら頭の中に暗記していたとしても、それは

「知っている」

だけのこと。いや

「聞いたことがある」とか
「読んだことがある」とかという程度の

とてもじゃないけど

「自分のもの」

には、なっていないもの、なわけで。

しかも

本に書いてあることというのは

その著者の「主観」であるわけで

それが、

全ての人にフィットするわけがない。

多くの人にインパクトを与える可能性はあるのは確かとしても

あなたの人生に、

寸分たがわずフィットしたものを提供してくれる本、など

そんなものが、

もし、あるとすれば

あなた自身が書いた自伝

それ以外にないわけです。

しかも、それを書いたところで、いま自分が知っている(と思っている)ことしか書けないわけだから、意味がない。

「自分がまだ知らないこと」
(知っているはずなのに思い出せないこと)

を求めるなら、

新たなインプットを求めるしかないわけです。

そして、インプットしたものを使い

自分の体を通して

現実を生み

それをさらにどうアレンジするか

それを繰り返すことが不可欠になるわけです。

「理解できないのは人のせい」
「上手くいかなければ人のせい」

そうやって、人生のハンドルを他人に握らせておけば、

事故ったときにも、

人のせい。

なんと、安全なんでしょう。

いや、安全でもなんでもないよな。

結局、事故るんだから。

結局、自分が、痛い目を見てるんだから、他人のせいにしたところで、何にもならないのに。

それは、

恋愛でも仕事でも人間関係でも、

同じこと。

大破した自分の痛みだけを叫び

悲しみながら被害者を演じ

加害者をみごとに生み出し

「こんなに辛いのは、人のせい」

「この人さえ、こうしてくれたら、私は楽になるのに」

それをやっている限り

あなたの人生に、常に加害者を存在させることになるのです。

家族を加害者にする人
異性を加害者にする人
同僚を加害者にする人

加害者を生みたい人の心にあるのは

「私のせいじゃない」
「私はいつも正しい」

ですが、

それ、

本当でしょうか?

わたしは、少しも正しくなかった。

わたしは、自分のことしか考えていなかった。

そう知った瞬間に

世界は、倍の広さになるのです。

相手を優先しなさい
自分を犠牲にしなさい

という話では、ありません。

自分であろうと
他人であろうと

全てを

「同じ重さ」
「同じ視点」
「同じ感度」

で、取り扱おうとすること。

どんな偉人が言った言葉でも

あなたが、

そうではない、と思うなら
そうではない、のであり

あなたが、絶対的に、そうだと思い込んでいることであっても

それは、もしかしたら

そうではない、

かもしれないのです。

自分は間違っているかもしれない。

自分だけの視点に偏っているかもしれない。

自分が思いもよらないところに、ヒントがあるかもしれない。

そのような視点で、本からだけでなく、広くものごとを見ようとするならば

たとえ、それが

子供向けの絵本であっても

文字も書いていないようなアート作品であっても

そこから

「読み取る」

ことが、できる。

そんな角度から、何かを読んだり学んだりするのなら

何を読んでも、損をする?なんてことは、ないはずです。

損をすることがあるとすれば、

「役に立たなかった」

という

レビューを書く時間、でしょう。

損したくないひとは、どこまでも損をするようになっている。

損得など考えていない人こそが

「徳」

を持っている。

私にも、読んでもしょうがなかったと思う本もありますが

その本のことは、その本を閉じたら忘れます。

「次。」

です。

そうやって、次の本の、次のページをめくるほどに

「この、ひとことを探していた」

という

人生を変えるほどのインパクトを得る本と

遭遇する確率も上がるものです。

あなたは最近、どんな本を読んでいますか?

どんなふうに、読んでいますか?

という、私が言っていることも、間違っているかもしれませんね。

内藤加奈子