上手く生きないことが最善の策。

img_0714人種差別や、戦争や、身近な争いごとまで

悲しみや痛みしかない、

それら、を無くしたいという気持ちは、誰しも同じなのではないかと

そのために、メガホンを持つまえに

行列を成して叫ぶ前に

そんな気持ちになるまえに

忘れないでいたいこと。

すべてには「背景」があるということ。

すべてには「要因」があるということ。

だから諦めろ、戦うな、ということではなく

「なぜ、そうなるのか」

に思いを馳せること。

知ろうとすること。

想像力をつかうこと。

それをしないから、

それら、が起こるのだから。

わたしたちは、

相手の動きや言葉の奥にある

「背景」に

どのくらい、互いに、思いを馳せているか。

ご主人、奥さま、子供、友達、部下、上司、彼、彼女、電車でとなりに立った人、スーパーで後ろに並んだ人、見ず知らずの誰かまで…

すれ違う人に、どのくらい思いを馳せたか。

相手の反応が、思わぬものなら

自分の殻に閉じこもり

その殻のなかから

外の世界を眺めては

目に付いた人に

見えない石、を投げて。

その見えない石は

あなたの手に感触を残し

あなたは罪悪感から

さらに殻に閉じこもり

いくら明るい人を演じても

心の中に、石を溜めていく。

そうなると、他人に思いを馳せる、なんて、ただのキレイゴトにしか聞こえなくて

自分を大切にする、ということの意味を取り違え

ただ、自分を守るために

ただ、傷つかないように

自由な物言いをしているつもりが、

ただのシュプレヒコールだったり。

その言葉に「温度」はないから

吐くあなたは、どんどん冷えて

凍えて、

さらに殻をかぶることになる。

人って、弱いのです。

私も、弱いです。

身を守りたいのです。

そのための、防御からはじまったものが、いつしか戦いになってしまう。

一人の人の心に

紛争があるから

それは遠くまで伝播する。

さて、どうしよう。

まずは、わたしが

心の武器を捨てよう。

あなたも、どうですか?

丸腰だった、こどものあの日を思い出して。

そこに居ることだけで、そのときが、何もないのに楽しくて。

何かに身構えることなく

何かを疑うことなく

傷ついたっていいじゃない?

何か失くしたっていいじゃない?

馬鹿にされたっていいじゃない?

こちらが先に笑うこと。

裸の心だけあれば

自分を評するに値する。

裸でいるから、

何も失いようもない。

ああ、思い出しました。

一番、無防備で

一番、弱くて強かった、子供の、あの日。

子供は生まれながらの冒険家。

わたしも冒険家で、いつも笑っていた。

わたしを冷やしたのは、わたし自身。

防御の殻に閉じこもって

外の世界を恐れて

愛想笑いの術だけは達者になり

それは仕事にまでなったけれど

本当は何をしたかった?

温めたかった。

凍える人を。

自分や、誰かを。

さて、熱を見つけよう。

もう心にあるそれを。

かっこ悪くても、いいじゃない?

そんなやりかたしか、知らないのだから。

発熱したくて、たまらないのだから。

あなたも、どうですか。

馬鹿げたことから。

こころの自家発電。

熱の奪い合いは、終わらないもの。

あなたが今すぐ笑えることを。

誰のため?なんてアタマ使わず。

脱線したぶん、その幅が道になる。

要らないことだと言われても

要らないことだよと笑いながら

意味などないし

意味などなくていい。

賢くなんて、なれないよ。

嘘すらつけない。

隠しごともできない。

気持ちが悪くて、面倒で。

オモテ、ウラ、ないほうが楽。

多少あったほうがミステリアスかもだけど

そんなのも上手くない。

けど、これでよかったんだ。いや、よくなかったけど、よかったんだ。

さて、体に隙間なく搭載したその武器を捨てて。ガシャんと地面に置いたなら。

それだけで、体が軽くなる。

自分を縛っていたのは、これだった。

自分を縛っていたのは、自分だった。

無防備が、最大の防御。

放棄するから、すべて手に入る。

なんの策も要らない。

上手く生きないことが、最善の策。

分厚い殻を捨てたなら。

脱皮したての柔らかい体を、まだシワくちゃの羽を、ゆっくり伸ばしながら。

小さなこの体じゃ、大気圏は出られないけど

まだ見ぬ景色まで。

思いを馳せて。

よかったら、貴女も一緒に。

内藤加奈子