「誠実」という「温度」

img_1245自分に嘘ばかりついていると

自分を疑うようになり

他人を疑うようになり

他人の目を気にするようになり

他人に媚びるようになり

それを愛と取り違え

人に尽くすことと取り違え

もとの真実がなんだったのか

自分に嘘をついたことすら思い出せなくなり

自分を疑い

他人を疑い続けるという

冷えた世界を生きるようになる。

その冷えを強がりで埋めようとするすら

強さだと取り違え。

凍え死にそうになりながら。

わたしは、そんな人間でした。

けど、

自分に嘘をつかなくなったら

世界はこんなに温かかったのだと

それを知りたくなかったのは

過去の戦いを無意味だと思いたくなかったからで

それを執着と呼ぶのですね。

自分への嘘を捨てたら

家族とも離れてしまったりしたけど

わたしの世界は、いま、温かく

愛すること

人に尽くすこと

それは

他人でもなく自分でもなく

わざわざとした動作も要らず

なんか、うまくいえませんが

急ぐことでも

力むことでもなく

ただ、淡々とした

ただ、血流のような

なんとなく、

なんとなくの、

のほほんとしたものなのかなと

思うようになりました。

自分だけにでなく

誰かだけにでなく

いつも誠実な向きで

力を抜いて

ただ、ここに座していたい

そのことだけに丁寧で在りたい

そんなふうに思っています。

 

内藤加奈子