力無き者に優しき道

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写真は、ひとり旅の部屋で読んだ本。どれもよかったです。

あり余るほどの幸せに

むせ返って

拗ねてみたりするのです。

そんな芸当もできるように
人に甘えることができるように

なりました。

何もなかった私には

0歳の子供を抱えて
飛び出してしまった私には

仕事も
帰るところもなかった私には

子供の口に入っているキャンディーにも
わたしが座っているこのリビングにも

1つ1つに
涙が出ることがあります。

あなたの日常に

「なにもない」

と感じることがあるならば

いつか

「すべてある」

ことを、感じることができる。

その

「下準備」

が、もうできているのでしょう。

何かを成す時は
選択肢がないのです。

その道、以外には

前に進むも、
後ろに下がるも

ないのです。

迷いが、ないのです。

あなたに「迷い」があるのなら

それは

あなたが何かを選択するときではない

そこに

未来はない

ということです。

もしくは、

迷いのなかにある
どの道を選択したとしても

同じ未来しかこない

ということです。

そうせざるを得なくなること。

それが

孤独な選択でも。

これ以上、自分を裏切れない。
これ以上、自分を騙せない。
これ以上、自分に嘘をつけない。

そんなとき

道は、1つしか、

ないのです。

迷ることができるのは
余裕のある証拠です。

その迷いにおいては

どの道を選択しても
大した差はないでしょう。

存分に、迷うことです。

どうせ、同じなのだから。

いまの自分が何を選ぼうと
同じなのだから。

いまの自分が何を選ぼうと

いまの自分にイコールの
未来なのだから。

もがいても
もがかなくても。

大差ない。
幸か不幸か、大差ない。

だから、大丈夫。
どっちでも、大丈夫。

何かを成す時。

たった一人でも
孤独すら感じることはなく

険しい道であるはずが
広い草原に思える。

細い細い
一本道を選んだはずが

なぜか

解き放たれる。

そして不思議なくらい

そこには

障害物のようなものが

石ころほども
転がっていないのです。

追い風しか、
吹かないのです。

その風は
止むことはないのです。

そしてその追い風は

さらに、あなたを転がし

あなたが両手に握りしめている
過去に酷使してきた武器も

強さだと信じていたものも
捨てざるを得なくなり

身構えて
防御することすらかなわなくなり

自分の弱さに絶し

立つことすら
歩くことすら諦めたとき

息をすることくらいしか
力が残っていないとき

そんなとき。

自分の小ささを
そのままに見る勇気を持ったとき。

なにをも迷ったり
思考することすらできず

顔を上げたその向きが
前であると疑うことがない。

そこまで
弱くなれたときに

道は、優しい。

選ぶことすら
求めてこない。

迷いすら
生じさせない。

力無き者に、優しいのです。

戦いを捨てた者に
優しいのです。

内藤加奈子